会長挨拶

会長挨拶

2026/2027年度 第21代会長 十代田 朗(國學院大學)

『歴史の積層を未来の計画へつなぐ―日本観光研究学会創立四十周年を超えて』

日本観光研究学会のホームページをご覧の皆様、そして会員の皆様。このたび熊谷会長からバトンを受け取り、第21代会長を務めることになりました。伝統ある本学会の舵取りを担うこととなり、とても光栄に思うと同時に、その責任の重さに身の引き締まる思いです。

1. 私の原点と、本学会とともに歩んだ40年
私と本学会との出会いは、学会が立ち上がってすぐの頃にさかのぼります。当時大学院生だった私は、立教大学で開かれた第1回全国大会で初めて研究発表を行い、先生方から温かいアドバイスをいただきました。あのとき感じた緊張感と感謝の気持ちは、研究者としての私の大切な原点です。
以来40年、さまざまな分野の先生方や仲間と議論を重ねる中で、私自身の視野も大きく広がっていきました。今日の私があるのは、本学会で出会えた多くの皆様のおかげだと実感しています。
私自身はこれまで「都市・地域発達史」と「観光計画論」を大きなテーマとして研究してきました。前者は「地域の成り立ちや歩み」を紐解く学問であり、後者は「育まれてきた暮らしや文化を、どう未来へ引き継ぐか」を考える学問です。過去をしっかり理解してこそ持続可能な未来を描くことができ、逆に未来を思い描くことで、歴史の新しい魅力が見えてきます。
創立40年を迎えた本学会もまた、先輩方が積み重ねてこられた研究の蓄積(歴史の積層)を大切にしながら、社会の新しい課題に向き合い、次の時代へ歩みを進める大きな節目(未来の計画)を迎えています。

2. 幅広い知と実践を力に――観光研究と現場をつなぐ
観光は、地域づくり、文化、環境、ビジネス、国際交流など、あらゆる分野と深くつながっています。この複雑で面白い領域を解き明かすには、専門の違いを超えて語り合う「学際性」と、現場の課題に寄り添い成果を社会に返していく「実践性」が欠かせません。
本学会では、研究者はもちろん、行政や観光業界、地域で汗を流す実務家の皆様、そしてこれからの未来を担う学生の皆さんとのつながりをとても大切にしています。
オーバーツーリズムや気候変動など、いま観光を取り巻く環境は大きな変化のただ中にあります。だからこそ、現場の皆様との対話を重ねながら役立つ知見を発信し、日本の観光研究をしっかり引っ張っていきたいと考えています。また、海外の学術団体との交流を深めたり、生成AIの活用といった新しい時代のアプローチにも柔軟にチャレンジしていきます。

3. 誰もが気軽に集える、生命力あふれる学会へ
学会の未来を創るのは、何よりも「人」です。ベテランの皆様が培ってきた知識や知恵を若い世代へ引き継ぎつつ、若手研究者や実務家、学生の皆さんが伸び伸びと挑戦できる場を育てていくことが、私たちの大切な役割だと思っています。
世代や立場、専門の垣根を越えて、誰もが気軽に「これからの観光」について語り合える、そんな活力と優しさに満ちた学会を目指していきます。
学会大会や研究懇話会など、会員以外の方にも気軽にご参加いただける機会がたくさんあります。「ちょっと面白そうだな」と感じていただけましたら、ぜひ一度のぞいてみてください。そして、これからも一緒に深めていきたいと思っていただけたなら、仲間としてご入会いただければこれ以上の喜びはありません。

観光の研究と実践をつなぐ温かい交流の場として、多くの皆様に親しんでいただける学会を目指して力を尽くしてまいります。
皆様のご参加と温かいご支援を、心よりお待ちしております!